ストーカー気質の恋人から逃れるため、いとこの助けを借りて新居へと引っ越した彼女。しかしそこでは、つきまとう変質者の隣人、不可解な夢、深夜の怪音など、不気味な出来事が次々と彼女を襲う。大家(おおや)のおばさんが「絶対に入ってはいけない」と禁じた部屋からは、ある夜、コツ…コツ…とノック音が響き出す。やがて一緒に暮らし始めたはずのいとこも、突然姿を消してしまう。精神が限界に追い込まれた彼女は、ついに禁じられた部屋の扉を開けてしまう――。そこには、絵の中の男が不気味に笑っている姿があった。次の瞬間、彼女は病院のベッドで目を覚ます。そして気づく。警備員、隣人、大家のおばさん、そして絵の中の男までもが、なぜか「親密な家族」として彼女の周りに集っていることに。逃げ場など、どこにもなかった。